チョコレートドーナツ
出典:http://bitters.co.jp/choco/introduction.html

実話から生まれた愛情の本質に迫るヒューマンドラマ

今回ご紹介するのは、1970年代アメリカ・ブルックリンでの実話を基に生まれた、ゲイカップルとダウン症の少年の愛の物語「チョコレートドーナツ」です。

1979年、カリフォルニア。ゲイであることを隠しながら生きる弁護士のポール(ギャレット・ディラハント)と、
シンガーを夢見ながらショーダンサーとして働いているルディ(アラン・カミング)が出会い、恋に落ちる。
そんな時、ルディが暮らすアパートの隣住んでいた、ダウン症の子ども・マルコ(アイザック・レイヴァ)が薬物依存の母親に育児放棄され置き去りにされてしまう。
マルコに深く同情したルディは、ポールと共にマルコを育てる事を心に決める。しかし、ゲイカップルである事から様々な困難が2人を待ち受ける。

ハンカチ必須!とにかく人間の持つ本物の愛情について考えさせられる作品です!

作中の主人公の歌う歌に注目!

主演のルディを演じたのは、ミュージカルの本場ブロードウェイでもその実力を認められているアラン・カミングです。
ストーリーに加えて、作中彼はシンガーとしていくつかの歌を歌います。
中でも心を揺さぶられるのが、アラン・カミング演じるルディが劇中で歌う『I Shall Be Released』のカバーです。
この曲はもともとボブ・ディランが作詞・作曲を手掛け、1967年にレコーディングされた楽曲で、
美しい旋律に乗せて社会的・宗教的メッセージを込めていることでも話題になり、
これまでにも多くのミュージシャンにカバーされてきたものでもあります。
日本でも、忌野清志郎さんが日本語歌詞を付けてカヴァー楽曲を発表したことも有名です。

歌詞のなかのフレーズ、”Any Day Now”は本作の原題になっています。
この曲を知った上でこの作品に触れてみるとまた違った観方ができるかもしれません!

もう一つの物語『ダウン症の少年アイザック・レイヴァ君の夢』

実はこの物語はもう一つの視点から見る事ができます。

マルコ役を演じたアイザック・レイヴァ君は本当にダウン症の少年です。
彼の子供の頃からの夢はなんと俳優になることだったのです。
彼はその為にパフォーミング・アーツの学校に通い、シリアスなドラマ、コメディ、歌やダンス、全てこなす実力をつけた少年だったのです。
さらに、彼はゲイであることを公言し、ゲイの権利や平等を求める長年の活動が認められて、母国の英国ではナイトの称号(爵位)を与えられています。
監督はこのような側面をもった彼だからこそ本作に起用を決めました。
起用を彼に伝えた時、彼は泣き始め“自分の人生の夢が叶いました”といったそうです。

この作品は、ダウン症という病気、性同一性障害に負けず努力している少年の夢が叶う瞬間を見ることのできる奇跡の作品でもあるです!

The following two tabs change content below.
劇団天然ポリエステル劇団員。運動療育士。現在は声優養成所に通い、声優を目指しつつ、舞台、ちょこっと映像、webラジオ配信となんかもうたくさん奮闘中系女子。giorni feliciでは映画ライター担当*