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出典:http://hikarikagayaku.jp

モントリオール世界映画祭『最優秀監督賞』受賞作品!

北のとある町。かつて働いていた採石場で同僚を死に巻き込む事故を起こし、
仕事を辞め、生きる気力を失ったまま日々を過ごす達夫(綾野剛)。

とある日、気性が荒いが人懐こい年下の青年・拓児(菅田将暉)とパチンコ店で出会って意気投合し、
誘われるまま彼の住むボロ家を訪れる。そこで達夫は拓児の姉・千夏(池脇千鶴)と出会う。
互いに心惹かれ合い、距離を次第に縮めていく2人。しかし達夫は千夏の衝撃的な事実を知ることになる……。

「オカンの嫁入り」の呉美保監督がメガホンをとり、愛を捨てた男と愛を諦めた女の出会いを描いた映画。


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家族のカタチにこだわる監督『呉美保』

「そこのみにて光輝く」で長編3作目の呉美保(お・みぽ)監督。
第1作の「酒井家のしあわせ」も前作の「オカンの嫁入り」も、カタチは異なるものの、どれも家族を見つめる映画です。
また、監督が初めて賞をとった映画も、認知症の祖父を収めた3分間の映画だったそうです。

「そこのみにて光輝く」は男女2人の物語と思われがちな作品ですが、やはり呉美保監督の作品。
一つの家族のカタチをえがいた物語でもあるのです。
実は物語のヒロイン・千夏の家庭は父親は寝たきり、その世話をする母は介護に疲れ、弟の拓児は仮釈放中という、惨憺たる状態なのです。

外に出て行きたくても、家族の為に家を出て行けない、その土地で生きていく選択しかない、きっと現実にもある家族の、若者の物語。

タイトルの“そこのみにて”に含まれる意味をより考えてしまうそんな部分にもぜひ注目していただきたいです。

原作者『佐藤泰志』作品の映画化に注目!

佐藤泰志(さとう やすし)は北海道函館出身で、芥川龍之介賞に5度選ばれるものの、
1989年「そこのみにて光輝く」の執筆を最後に41歳で自ら命を絶った作家です。
死後、彼の作品たちは絶版になるものの、17年たった2007年に『佐藤泰志作品集』が出版され、それをきっかけに近年、再評価されています。

2010年には谷村美月、竹原ピストル、加瀬亮らによって『海炭市叙景』が映画化。
2014年に『そこのみにて光輝く』、さらに来年2016年に『オーバー・フェンス』の映画化が決定しています。

彼の人生からもうかがえるように光も陰も隠さない、魂を削ぎ落として書いたような佐藤泰志作品だからこそ、今もう一度見直されているのかもしれません。

そんな佐藤泰志作品、そしてそこに体当たりで臨む役者さん達にあなたの心は間違いなく動かされるはず!

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劇団天然ポリエステル劇団員。運動療育士。現在は声優養成所に通い、声優を目指しつつ、舞台、ちょこっと映像、webラジオ配信となんかもうたくさん奮闘中系女子。giorni feliciでは映画ライター担当*