新宿スワン
出典:http://shinjuku-swan.jp/

園子温×新宿スワン

園子温。
1961年生まれ53歳。
24歳の時に製作した『俺は園子温だ!』がぴあフィルムフェスティバルに入選。
1987年、『男の花道』でぴあフィルムフェスティバルグランプリを受賞しました。

2002年『自殺サークル』、
2005年『夢の中へ』と徐々に知名度が上がっていきましたが、
完全にブレイクしたのが2008年の『愛のむきだし』。
「国際批評家連盟賞」「カリガリ賞」を受賞しましたが、

そういう問題ではなく、

満島ひかり可愛い
満島ひかりって元Folder5のHIKARIかよ

という声が止まらない状態に。

女性を可愛くセクシーに撮る才能を発揮させました。
そして2011年の『冷たい熱帯魚』で、
鬼才と呼ばれることに文句をつける人がいなくなりました。

『新宿スワン』。
2005年からヤングマガジンに連載されました。
作者の和久井健先生は、かつて実在した日本一のスカウト会社の元スカウトマン。
連載されるや、リアルなスカウトマンの漫画ということで話題になりました。

そんな二つがコラボレーション。
どうなるかと注目が集まり、
5月30日の公開から三日後の6月2日に行ってきました。

前評判と冒頭は今イチ

ツイッター等で目にする前評判は今イチでした。
「園子温っぽくない」
「園子温枯れた」
など。

そして観始めて…

確かにこれはちょっとどうなんだという感じの冒頭でした。

『愛のむき出し』の冒頭…キリスト教の家族の食卓とか、
『冷たい熱帯魚』の冒頭…冷凍食品を無造作に買い物かごに放り込んでいく人妻とか、
なんかジワっと心をくすぐられるじゃないですか。
そして静かに引き込まれていくというか。

『新宿スワン』は、主人公のタツヒコ(綾野剛)が歌舞伎町でチンピラにカラまれて喧嘩になるという、
陳腐なバトルシーンから始まりました。
バトルも特に工夫なし。
暴れ回って物が壊れる、
北野監督以前の日本映画のようなバトルシーンです。

そしてなぜだか、その様子が
歌舞伎町のスカウトの大物の真虎(伊勢谷友介)の目に止まり、
スカウトマンになります。

なんでやねんの連続です。

主人公がアホすぎる

そして、さらにイライラを募らせたのが、
主人公のアホさ加減です。

いきなりスカウトマンになっちゃうのもさることながら、

・半年前に入った先輩にタメ口。その先輩へのカラミ方もサムい。
・女のコへの声のかけ方がアホっぽい
・ヘルスとかに女のコをスカウトしながら「女のコを泣かす奴は許せねえ」とか言ってる
・事情も知らず「女のコがかわいそうだ」みたいなことで顧客を殴る
・抗争に利用されっぱなし。喧嘩やりたがる割にそんなに強くない
等々

とにかく、インテリジェンスを感じません。
感情移入できません。
関(深水元基)に後ろから蹴られた時ちょっとスカっとしたくらいです。

逆に、主人公以外は頭いい感じで面白かった

…ではクソ映画かと言えばそうではなく…

主人公が出てくるところ以外は、全部面白かったです。

真虎と関のバースト内ナンバー2争い、
バーストとハーレムの争い、
ハーレム内の秀吉(山田孝之)の台頭、
バックの天野会長(吉田鋼太郎)の存在。
権謀術数が乱れる飽きないストーリーに、
役者達が答えます。
山田孝之も吉田鋼太郎も深水元基もかっこいいし、
特に伊勢谷友介はめちゃめちゃかっこよく、
僕も金髪にしたいと思ってしまったくらいです。

…ここまで来て、ふと気づきました。

もしかして園監督は、主人公をあえてアホにしたのではないかと。

誰もがポリシーと策を持って歌舞伎町を徘徊します。
アホなのは主人公くらいです。

主人公をフリにすることで、周りをかっこよく頭良く見せているという効果が一つと、
全員本当に頭いいと、ストーリーが転がらないので、
あえて主人公をアホにさせたのではないでしょうか。

ヤンマガ内抗争

原作のある映画のややこしいところは、
映画の面白い部分もつまらない部分も、
もしかしたら原作の責任という可能性があるということです。

例えば冒頭の、いきなりなぜかスカウトマンになるのは、
原作通りです。

実は、原作でも主人公はアホです。
もちろん、そのアホをアホのまま…いや、
さらにアホを強調させて使ったのは園監督ですが。

そして園監督の狙いはわかりませんが、
和久井健先生には、ハッキリとした狙いがあったと思います。

バーストとハーレムは歌舞伎町内権力争いをしますが、
和久井健先生にも、
ヤングマガジン内での抗争がありました。

『新宿スワン』の連載が始まったのは2005年。

2004年に『代紋take2』が終わり、
『新宿スワン』には、ヤクザ漫画としての活躍を期待されていたはずです。

そしてその時連載されていたのは…

  • ナニワトモアレ
  • 猿ロック
  • 彼岸島
  • 女神の鬼
  • エリートヤンキー三郎 第2部:風雲野望編
  • 空手小公子 小日向海流
  • 喧嘩商売
  • 工業哀歌バレーボーイズ
  • 頭文字D
  • R-16
  • 食べれません
  • 賭博堕天録カイジ
  • アゴなしゲンとオレ物語
  • 湾岸ミッドナイト
  • チェリーナイツ

ライバルは、『ナニワトモアレ』『猿ロック』というところでしょうか。
どちらもストーリー漫画ながら、
主人公がアホキャラです。
競合に合わせ、『新宿スワン』もそうせざるを得なかったのかもしれません。

とにかく、主人公はアホですが、それ以外が面白くてかっこよく、
沢尻エリカも山田優も丸高愛美も可愛くセクシーに撮られている『新宿スワン』。
オススメです!!

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コーイチロー
元東京NSC7期生の売れない芸人。R-1GP2011一回戦突破。フライデーナイトライブ二位。『格闘技LOVE』『元売れない芸人の独り言』管理人。ストリートシュガーリンダ『お笑い芸人たちのあんなことこんなこと』執筆。